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欧米と日本の大学のシステムの違い

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前回、グローバルな大学ランキングについてお話いたしましたので、その流れで、日本の大学と欧米の大学の大きなシステムの違いについて、今回お話したいと思います。これを知っているかどうかで、「留学」に対する考え方が大きく変わると思います。 日本の場合、ある大学から他の大学や他の学部へ転籍することは可能ですが、大変難しいイメージがあります。どの大学のどの学部へ入るかが、人生を左右する大きな選択となりますので、その入り口の受験のところで、ものすごく加熱します。入ってしまうと、それほど必死に勉強しなくてもなんとなくレールに乗って卒業して就職できてしまったりという人も少なくないのではないでしょうか。 私自身、夫の海外赴任の時に「アンクラシファイド・スチューデント」というステイタスでハワイ大学で留学を短期間経験しました。これは「学部を卒業して大学院での専攻を決めるために、単位を取得し成績がつく形でいろいろな学部の授業を受けることができる」というステイタスです。 この時に知ったのですが、アメリカの大学には「トランスファー」という制度が広く定着していて、一旦入学した大学での成績やTOEFLのスコア、日本の高校や大学での成績表、健康診断表などなどを提出申請して許可されれば、アメリカ中のどの大学のどの学部へも転籍編入可能なのです。 最初、TOEFLのスコアが、それほど高くなくても、治安の良いハワイなどの大学に留学して一生懸命勉強して良い成績を上げ、TOEFLのスコアを上げれば、本来自分の行きたいと思っていた難しい大学の学部への編入も、その後十分可能ということです。 ただ、ここでまた日本の大学のシステムと大きく異なるのですが、田舎ののんびりした大学で、入学時にそれほど高い成績を必要としない大学でも、先生たちのレベルと熱意は非常に高く、良い成績を上げるには、日本の受験勉強に匹敵するほどの真剣でハードな勉強が必要という点です。そして良い成績を上げれば、日本では考えられないような手厚い奨学金なども申請可能です。成績が良くなければ、奨学金の条件も良くなく、自分の進みたい方へは行けないという、とてもシビアな実力主義であることを忘れてはなりません。 成績も、クラスの何%をAといった相対評価ではありません。最初の授業の時に、先生が、クラスの出席が何%、課題が何%、テスト何%

世界の大学ランキングを発表しているQSってご存知ですか?

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ネットのニュースで、世界の大学ランキングで、日本の大学が年々順位を落としているというニュースをご覧になった方も多いと思います。ニュースについているリンクをクリックして、どの国のどの大学が、どのような順位にランクインしているかチェックされた方も多いかもしれません。 QS World University Rankings 2018 https://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2018 けれど、この世界大学ランキングを発表しているQSという団体が、どんな活動を行っているかまで調べて読み込んだ方は少ないのではないでしょうか。将来お子さまを海外の大学へ留学させたいというお気持ちをお持ちのパパ、ママは、ぜひブックマークして、ご自身の英語のトレーニングもかねてQSのサイトを読み込んでいくことをおすすめします。 QSのオフィシャルサイトは、世界の大学のランキングを掲載するだけでなく、各大学それぞれの規模や教育ポリシー、研究分野、設備、留学生の受け入れ体制、授業料まで、様々な情報を比較検討可能な形で掲載しており、大学院・MBAの総合入学情報ガイドとして構築されています。また一方で、世界各地で、各大学のMBAや修士・博士課程のグローバルな説明会ツアーを主催しています。 QSについて https://www.topuniversities.com/about-qs ロンドン、パリ、ブカレスト、シュツットガルト、ムンバイ、シンガポールにオフィスを持ち、250人のスタッフが働いているグローバルな組織ということです。QSワールドMBAツアーは、39ヵ国70都市で開催され、5万人のMBA就学希望者を世界中の高いレベルのMBAコースを持つ大学関係者に引き合わせており、修士・博士課程のツアーは、31ヵ国の47都市で開催され、4万人の進学希望者が参加しているということです。 ちなみに今年は、10月28日の東京を皮切りに、修士・博士課程への進学説明会のQSワールドツアーが開催されるようです。 ここで、気になるのが各国各都市で開催される説明会への世界の大学の参加状況ですが、東京7ヵ国11校(内アメリカは1校)、ソウル11ヵ国25校(内アメリカ6校

ビンタなどの体罰は、しつけといえるか?

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最近有名なジャズミュージシャンが、教え子にビンタをする映像がネットや TV で流され、平手で子どもを叩く行為の教育的な効果について大きな議論を呼びました。著名な芸能人や文化人の中に、しつけや教育的指導法として、そうした体罰を擁護する意見も散見されましたので、 1 年前のテキサス大学オースティン校の研究レポートについてご紹介いたします。 Risks of harm from spanking confirmed by analysis of 5 decades of research Date:   April 25, 2016 Source:   University of Texas at Austin Summary: The more children are spanked, the more likely they are to defy their parents  and to experience increased anti-social behavior, aggression, mental health problems  and cognitive difficulties, according to a new meta-analysis of 50 years of research on spanking.  https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160425143106.htm ビンタ(平手で顔を打つ)やスパンク(平手でお尻や背中を打つ)などの軽い体罰も含めて、いかなる体罰も、教育的に期待される効果が全くないばかりでなく、逆効果であるということが、 16 万人の子どもを巻き込んだ 50 年以上の調査研究により明確に実証されているということです。 にもかかわらず、世界中の親の 80 %が、しつけとしてビンタやスパンクなど、なんらかの体罰を効果があるものとして子どもに対して行っているという実態調査の結果が、 2014 年 UNICEF から出されています。体罰を受けた子どもが、親になった時に同じように自分の子どものしつけに体罰を行う傾向があるということも、広く知られています。日本だけでなく世界中で、体罰を受けた子どもの方が反社会的な衝動