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ラング世界童話全集を、聴いて楽しむ物語体験にする試み

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世界中に散らばっている神話や伝説、民間の口頭伝承の物語などが、似通ったモチーフや筋立て、構造によって出来ていることに注目し「元型論」を唱えたのは、フロイトと並んで心理学の創始者として知られるユングです。ユングは、人間の心の奥底には、生き物としてのヒトが持つ共通の心の仕組みがあると考え、それを「集合無意識」と名付けました。 幼い子供に対して、世界中いろいろな文化や民族の大人たちが、同じような物語を語って聞かせ、この世界の中で生きていくということを教えてきた人類の脈々とした営みの歴史に思いを馳せると、人間は、まさに物語を通してこの世界を、自分の内面を、そしてこの世界と自分との繋がりを実感し理解していく生き物なのだと分かります。 子供達が、そうした昔話や民話、神話などの物語を聞いたり読んだりする機会が、最近とみに減ってきているのではないか?と考え、PonoLipo Shopでご紹介できる良い児童書がないものだろうかと探し、びっくりするような素晴らしい物語集を見つけましたので、ご紹介します。 19世紀末イギリス人の民俗学者アンドリュー・ラングによって世界中、ヨーロッパ中の口頭伝承の物語を集めた物語集がロンドンで出版され、大きな反響を呼びシリーズ化されました。このラング世界童話全集を、日本では、ノーベル文学賞受賞作家の川端康成氏とボブ・ディランの「風に吹かれて」の訳詞もされた編集者で著作家の野上彰氏が、「こぶとりじいさん」などの日本の民話・昔話をバランス良く散りばめて編訳し12巻のシリーズとして出版しました。現在、綺麗なイラストと装丁のシリーズとして、偕成社から出版されています。 川端康成氏は、幼少の頃両親を亡くし、親戚の家を転々とする中で実の姉とも生き別れ、目も耳も不自由な祖父母の元に預けられました。日々年老いて衰えていく祖父母とともに暮らしながら成長し、その死を看取り、長じて作家となった人です。結婚して後は、実子に恵まれず、女の子を養子にとって育て上げています。 「ひとりぼっちの孤独な個人が、日々良く生きることで、良き人と繋がり美しい人生を歩むことができる」ということをテーマとした、川端氏の儚く切なく美しい個人の在りようを描いた作品の数々から、彼自身が、血の繋がった家族を生涯切望しながらもそれに恵まれず葛藤した軌跡が偲ばれます。 そうした生涯

From NY Joyの子育てレポート 幸福な子どもを育てる鍵はどこ?

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NYで二人の子育てに奮闘しているJoyから、オススメ記事を見つけたので紹介したいということで、NPR(National Public Radio)のニュースサイトに掲載された「幸福な子供を育てる鍵」についての記事が送られてきました。これは、神経心理学者のWilliam Stixrud とNed Johnsonによって書かれた新刊本「The Self-driven Child」を紹介し、著者の一人であるStixrud氏にインタビューして書かれた記事です。今年の2月18日に掲載された最新の記事です。 The Key To Raising A Happy Child https://www.npr.org/sections/ed/2018/02/14/584275859/the-key-to-raising-a-happy-child?utm_campaign=storyshare&utm_source=facebook.com&utm_medium=social 後半のインタビューも含めると、とても長い記事ですので、内容を要約してお伝えします。興味がおありの方は、元記事をご覧になって下さい。また、書籍を購入してお読みになって下さい。 ◆ Stixrud氏は、神経心理学者として、30年間アメリカの親子の心理カウンセリングのセラピーに関わり、また女の子と男の子二人を育て上げたパパとしての経験も踏まえて、この「The Self-driven Child」という書籍をNed Johnson氏と共著で出版されました。 この半世紀以上にわたって、アメリカの幼い子供から大学生くらいの若者まで、「自分自身の人生をコントロールできていない」というイメージが、心理カウンセリングやセラピーの現場で多く語られるようになり、それに呼応して不安神経症やうつ症状などの発症率も上がってきていることに着目し、Stixrud氏は、自身のセラピストしての体験、研究者としての知見、親としての経験を踏まえて、自分自身の運命を自分がコントロールしているという実感「行為主体性」が、人間として幸福に良く生きることに直結する最も大切な要素と言えるのではないかと考え、この本を書いたとのことです。 幼少の頃からの両親との関係性の中で、この「行為主体性」は育まれていき